第19回経営者セミナー
11月13日、組合総研主催の第19回経営者セミナーが協同会館アソシエで開催された。
今回は、玉城デニー県知事の勝利でさらに大きな注目を集める沖縄県・辺野古新基地建設反対運動の現状を映すドキュメンタリー映画『SAVE HENOKO』の上映会と現地活動家の奥間政則さんの特別トークが行われた。
■現場の実態を映像に■
当日は、北海道を拠点に『辺野古ゲート前の人びと』『圧殺の海』など沖縄基地に関する数々のドキュメント映画を撮影し、今回の『SAVE HENOKO』を撮影した藤本幸久・影山あさ子共同監督が参加。両監督から「沖縄の民衆の不屈の闘いをこれからも追い、発信し続ける」と力強い挨拶があった。
映画は、機動隊・海上保安庁などあらゆる暴力に屈することなく「命どぅ宝」を合言葉に米軍基地建設に抵抗する市民たちの魂の日々に迫ったドキュメンタリーとなっている。
辺野古基地建設に至る歴史と現状―第2次大戦の沖縄戦から、現在の米軍基地と海兵隊の訓練、翁長知事誕生以降の経過と現場での民衆による抵抗。一変して近隣の美しい海中のようす、さらに玉城デニー知事の誕生までを描いた内容。
■地盤に大きな問題が■
続いて、沖縄県大宜味村在住で基地反対闘争を続け、最前線で闘う奥間政則さんによる特別トークがあった。
奥間さんは、ハンセン病の隔離政策と沖縄の米軍基地負担はどちらも国策であり人権差別である。だから、米軍基地建設反対運動に参加するのだと話した。
そして、一級土木施工管理技士としてこれまで多くの工事に携わった。その経験から、高江と辺野古で進む工事のさまざまな問題点を指摘し続けてきた。奥間さんの訴えにより、辺野古新基地建設工事が、違法行為や手抜きの温床だと明らかになっている。
今回問題にあげているのは、辺野古新基地建設の埋めたて予定地の地盤である。工事予定地の海底は琉球石灰岩という軟弱な地盤(人の骨に例えると骨粗鬆症のようなもの)に覆われ、大型構造物の建設に適していないとされ、現在訪米中の玉城知事も米国側にこの問題について提起してる。
さらに、超軟弱地盤の存在も発覚している。その地盤は、この間沖縄防衛局が24箇所のボーリング調査や磁気探査などの結果を北上田氏が情報公開請求し入手した報告書から明らかとなっている。
特に、埋めたて海域の最も深い〝C1〟と呼ばれるケーソン護岸建設予定地付近の二箇所。この海域は谷間地形であり、地下約40メートルにわたって柔らかい砂や粘土が蓄積されている地盤である。北上田氏は「水深約30メートルの海底からさらに地下40メートルにわたって地盤改良することになれば、かなり大がかりな工事になることは必然であり、コストの負担や環境に影響を与える」なとと指摘していることを報告した。
■活断層の上に建設■
また、キャンプ・シュワブ弾薬庫付近に辺野古断層と楚久断層の活断層がある。安倍政権は、根拠も示さず必死に活断層の存在を否定している。しかし、私たちは学者や国会議員、行政の協力も得て辺野古基地建設断念を目指す。徳島県では、活断層の上には大規模な建築物を建ててはならないと条例化されている。玉城沖縄県知事も条例化に踏み出せば基地建設は不可能になる。違法行為を積み重ねれば重ねるほど新基地建設がどれだけ無謀な工事か浮き彫りになってくる。
■土建屋の誇りにかけ■
そして最後に「土建屋は道路や港など人に喜ばれたり、生活が便利になるものを造るのが仕事。どうせ税金でやるのなら、人に喜ばれるものを造りたい。基地建設の作業員によく話しかけるが、彼らはいつも〝仕事だから仕方ない〟と答える。自分もそうだったので気持ちは分かるが、人を殺すものを造っているのに、仕方ないでは済まされない。自分は土建屋としての誇りを持って反対運動に参加してる」と話を締めくくった。
■沖縄と連帯していく■
さまざまな問題を当事者から学んだ今回のセミナー。閉会の挨拶で、総研の武洋一理事から「沖縄意見広告運動の中核として、今後とも現地沖縄と連携・交流を深めたい」との固い決意が表明された。
★奥間政則さん★
沖縄県国頭郡大宜味在住、一級土木施工管理技士。土木技術者の視点から辺野古や高江の米軍基地や宮古島の自衛隊ミサイル基地などの建設工事の問題点を指摘し続ける。沖縄ドローンプロジェクト分析責任者。
【 くさり12月号より 】